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2010年07月 アーカイブ

にせの遺言書事件

紙の製造年代を推定することは、プロでも非常に難しいことなのだそうです。

素材が有機物で、変化しやすいからです。

しかし、時には原料やパルプの製造方法、サイズ剤などの使用薬品が手掛りとなり、製造年代を絞れることもあります。

紙漉きのプロが、ある弁護士からこんなことを頼まれたそうです。

「遺産相続のもめごとで、遺言書がにせであると訴えられたが、にせ物か、本物か鑑定できないか?」

訴えによると問題の遺言書は書かれている日付(戦争中)より後のもので、にせ物であるといいますが、その通りか、製造年代を調べてほしいとのことだったそうです。

その紙は事務用罫紙に似たもので、鉛筆で書かれていました。

kaku.jpg

にせの遺言書事件 2

紙漉きのプロは、使用している原料繊維が何であるかを調べるために、試料のごく一部分を切取りました。

そして離解して、プレパラートを作り染色。

顕微鏡試験をしたところ、原料のパルプは漂白した広葉樹クラフトパルプが主体で、針葉樹クラフトパルプが含まれていました。

この紙に紫外線ランプを当てると強い螢光を発し、螢光増白剤を使用していることがわかりました。

漂白した広葉樹クラフトが日本で作られたのは戦後であり、螢光増白剤の使用も戦後になって、初めて使われたものです。

これらのことから、遺言書は戦後に製造された紙で作られたもので、戦争中に作られた物ではないと判断されました。

そして、この遺言書はにせ物であろうと鑑定したのです。

鑑定を依頼した弁護士がその後、この結果をどのように使用したかは聞いていないそうですが・・・。


紙を見分けるなんて、紙のプロだからこそなせるワザですね。

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